案件は取れている。なのに、人がつかなくて売上にならない。派遣会社の営業のご相談で、いちばんよく聞く話です。
人材派遣会社の営業のご相談で、よく聞く話があります。案件は取れている。なのに、人がつかなくて売上にならない。
営業は案件を取ってくるのが仕事で、採用は人を集めるのが仕事。それぞれは頑張っている。それでも数字が伸びないとき、原因は二つの部署の間にあることが多いと感じています。
受ける条件を、先に決める
ある会社では、営業が取ってくる案件の条件を、採用の側と先に合意することから始めました。年齢はどこまで受けられるか。どんな経験があれば紹介できるか。どの給与なら人が集まるか。この3つを満たす案件だけを取りにいきます。
条件を決めずに案件の数だけを増やすと、人がつかない案件が積み上がります。営業は「採用が人を出さない」と言い、採用は「営業が無理な案件を取ってくる」と言う。このすれ違いは、どちらかの努力不足ではなく、決めごとがないことから生まれます。
合わなかった応募者を、そこで終わらせない
求職者の方が応募した求人に合わなかったとき、社内で見送りにして終わっていないでしょうか。
ある人材サービス会社では、応募のあった求人に合わない方を、書類選考の前に社内で落としていました。人材紹介では、一人の求職者が並行して何社も受けるのが普通です。似た条件の別の求人を一緒に提案できれば、その方の機会は残り、会社にとっても出会いが無駄になりません。このときの話は Field Log #002 に書いています。
狙う先を分ける。全部に同じ営業をしない
取引先を規模で並べてみると、少人数の取引先が数の大半を占めるのに、営業のやり方はどの取引先にも同じ、ということがよくあります。
私たちは、取引先を「いま大きく取引している先」「伸びる余地がある先」などに分けて、営業の時間の配り方を変えることを提案しています。大手の取引先には営業がすでに接点を持っているので、そこにインサイドセールス(電話やオンラインでの営業)を重ねても効率は上がりません。インサイドセールスは、数が多く、まだ接点の薄い取引先に当てる方が力を発揮します。
ただし、分けること自体が目的ではありません。ある会社では、取引先の分け方を見直しても、売上が下がっている主な原因は「人を出せる数」の方にありました。分け方は営業の時間の配り方を決める道具で、人が足りない問題は採用の側で解くしかありません。
単価の交渉を、全員で見えるようにする
派遣の単価の交渉は、担当者ごとに進み具合がばらばらになりがちです。ある会社では、全取引先の交渉の状況を一枚の表(星取表)にまとめ、毎週更新して全社で見えるようにしました。並べる項目は、取引先、いまの単価、目標の単価、契約の更新日、前回の値上げの日、担当、次の行動、結果とその理由です。
運用してみて分かったのは、表は「入力されているかどうか」自体を見ないといけない、ということでした。交渉中の件数が減ったのに、成立は増えていない。よく見ると、空欄が増えていた。表をつくるより、表を使い続ける方がずっと難しいのです。
交渉の資料も、「値上げのお願い」にはしません。最低賃金や社会保険料の上昇、相場との差をもとに内訳を示し、スタッフが離れて採用し直すコストと比べて話せるように組み立てます。
会議は、未達のときに何を話すかで決まる
毎月の営業会議の報告は、3段に分けています。
- 目標に対して達成か未達か。採用・退職・稼働人数・売上と利益の概要
- 施策ごとの目標と実際
- 未達なら、来月どう取り返すか。期限と根拠をつけて
未達は責めるものではありません。なぜ未達で、来月どう返すかを自分の言葉で語れれば、事業の責任者としては十分だと考えています。「頑張ります」だけは、受け取らないようにしています。
現場に渡す目標は、ひとつ
管理する数字は細かくていい。でも、現場に渡す目標はひとつに絞ります。打ち手もひとつに絞って、3か月続ける。いくつも同時に始めると、何が効いたのか分からなくなるからです。
間違えたら、そう言う
私たちも見立てを外します。ある案件では、求職者と求人の組み合わせを判定するのに AI が必要だと、最初に整理しました。後で、両方に同じ職種の区分を持たせれば普通の計算式で足りると分かり、そのまま訂正しました。先方の社内で使えるツールを確かめないまま管理表を作り、打ち合わせの当日に作り直しを引き取ったこともあります。
間違いは、早く言った方が傷が浅い。営業の支援でも、それは同じです。
文・片桐 正嗣株式会社TL 代表取締役
ご支援先が分からないよう、社名と一部の内容を伏せています。
新しい記録は SNS でもお知らせしていますX でフォロー Facebook でフォロー
