拠点の担当者は、外回りや働いているスタッフの対応で手が離せない。そのあいだに届いた応募は、翌日、翌々日へと回っていきます。
拠点の担当者は、外回りや働いているスタッフの対応で手が離せない。そのあいだに届いた応募は、翌日、翌々日へと回っていきます。夕方以降や休日に届いた応募は、なおさらです。
そこで「応募者への対応は、本部にまとめた方がいいのでしょうか」というご相談をいただきます。話を聞くと、以前一度まとめてみて、うまくいかずに拠点へ戻した、という会社も少なくありません。
私たちの答えは、まとめるかどうかより先に決めることがある、です。
うまくいかなかったのは、まとめたからではない
以前の集約がうまくいかなかった理由をたどると、たいてい同じところに行き着きます。誰が・何を・どこまでやるかが決まっていなかった。追いかけのルールもなかった。
本部が応募を受けたはいいものの、連絡がつかなかった方を誰がいつまで追うのかがあいまいで、拠点は「本部がやっているはず」、本部は「拠点に渡したはず」と思っている。その隙間で、応募者の方が抜け落ちていきます。
これは集約という形の問題ではなく、業務の設計の問題です。設計がないまま拠点に戻しても、拠点ごとにやり方がばらばらになるだけで、取りこぼしは残ります。
まず線を引く。本部はどこまで、拠点はどこから
私たちがまとめる側に立つときは、最初に一次面接の設定までを本部の仕事、と区切ることが多いです。応募の受付、最初の連絡、面接の日程を決めるところまでを、全拠点同じルールで回します。面接そのものと、その先の判断は拠点に残します。
全拠点を同じルールで回すと、数字がはっきり見えるようになります。どの拠点で面接の設定率が低いのか。それが対応の遅れのせいなのか、そもそも応募が少ないせいなのか。拠点ごとにやり方が違うと、この切り分けができません。
同じルールで回しても面接の設定率が上がらないなら、対応の問題ではありません。次は応募の数を増やす方に手を打つ、と判断できます。順番を間違えないための線引きでもあります。
面接の日程調整そのものも、全部を人がやる必要はありません。依頼先の会社が応募者管理のシステムを使っているなら、そこに応募者を登録すれば日程調整の案内が自動で届く形にできます。そうであれば、代行する側は日程調整をせず、止まっている人だけを確認する。役割をそこまで割り切ると、連絡の漏れも、二重の連絡も減ります。
新しいツールを入れる話が同時に進んでいるときは、急いで全部を切り替えないようにしています。運用を短いあいだに二度変えると、現場が混乱します。必要な機能だけ使い、残りはいままでの流れのままにする。そもそも、いま困っていることが本当にツールのせいで起きているのかも、先に確かめます。
最初の連絡で、もう一往復を減らす
応募の直後に届く自動返信が、お礼だけになっていることがよくあります。それだと、日程を決めるためにもう一往復が必要になります。
私たちは、自動返信の段階で希望の日時を聞くようにしています。返信をくれた方とは、すぐに日程を決める。返信がない方には、電話や追いかけのメールで連絡する。この二段構えにすると、急いでいる方を待たせずに済みます。
面接の候補日時は、絞りすぎないようにしています。曜日や時間帯に幅を持たせた方が、応募者の方は選びやすくなります。
本部や代行の会社から連絡するときに気をつけたいのが、送り元です。知らない会社の名前で連絡が来ると、応募者の方は警戒します。私たちは依頼先の会社のドメインで採用専用のアドレスを用意していただき、そこから連絡しています。応募した会社と直接やり取りしている形にすることで、不信感から連絡が途切れるのを防ぎます。
応募の後に何が起きていたのかを数字で追いかけた話は、Field Log #003 に書きました。
追いかけのルールは、文書にする
連絡がつかない方を、何回、何日まで追いかけるのか。区切った後は、拠点の担当者が追いかけてよいのか。こうしたルールは、口頭の申し合わせで済ませず、文書にします。
決めておくのは、たとえば次のようなことです。
- 電話とメールを、それぞれ何回まで送るか
- 応募から何日たったら、本部の追いかけを区切るか
- 区切った後に、拠点が独自に連絡してよいか
- 夕方以降や休日に届いた応募を、いつ・誰が受けるか
- 見送りや辞退の連絡を、どちらが出すか
文書になっていると、人が入れ替わってもやり方が変わりません。本部と拠点のあいだで「やったはず」「渡したはず」と食い違ったときも、立ち返る場所があります。
対応の時間も、応募が集中する時間帯に合わせて組みます。応募がどの曜日・どの時間に届いているかを先に見て、そこに人を置く。営業時間の決まりから組むと、いちばん応募が多い時間に誰もいない、ということが起きます。
いくつもの求人を一か所で受けるときは、取り違えを防ぐ
まとめると、ひとつの窓口にいくつもの拠点・いくつもの求人の応募が並びます。そこで起きやすいのが、どの応募者をどこにつなぐかの取り違えです。
私たちは、求人の管理番号の末尾などに識別のための記号を付け、応募を見た瞬間に振り分け先が分かるルールを、受付を始める前に決めます。現場が毎回考えなくても判別できることが大事です。
あわせて、「登録」という言葉が何を指すのかもそろえておきます。応募者管理の画面に入れることなのか、社内の別のシステムに入れることなのか。言葉がずれていると、同じ作業を二重にしたり、誰もやっていなかったりします。システムに入れる情報は、必要な最小限にとどめます。
募集の枠が埋まった求人に応募してくれた方に、別の求人を紹介することもあります。そのときは、枠が埋まったことと、同じような仕事があることを丁寧に説明し、ご本人の了承をいただいてからつなぎます。勝手に振り替えることはしません。
進み具合は、入力のルールで共有する
本部と拠点、依頼先と代行の会社のあいだで、応募から採用までの進み具合をどう共有するか。ここが決まっていないと、面談の結果が担当ごとにばらばらに記録され、どこで離脱したのかが集計できません。毎週の件数報告も、手作業で数えることになります。
私たちは、ステータスを細かく増やしすぎないようにしています。現場の方が迷わず選べる、最小限の数にします。そのうえで、どの場面で・何を・いつ入れるのかを具体的に決めます。たとえば「面談の結果は、遅くとも翌朝までにステータスとメモに入れる」。
決めて伝えるだけでは足りません。実際にそのとおり動いてもらえるようになるまで、こちらが責任を持って見ます。入力の漏れがあったときだけ窓口に知らせる運用にすれば、手作業の週次報告はいらなくなります。
媒体ごとの分析をしたい、というご要望もよくいただきます。ただ、採用・不採用・辞退までステータスが正しく更新されていて、初めて使える分析です。分析の前に、入力のルールが守られているかを確かめます。
一度に全部ではなく、応募の多い拠点から
全拠点をいきなりまとめることは、おすすめしていません。まず応募の多い拠点でやり方の型をつくり、数字が変わるかを確かめてから広げます。応募の多い拠点なら、短い期間でも違いが見えやすいからです。
もうひとつ、最初から考えておきたいのが、まとめた先の担当者のことです。応募の受付と連絡は、同じ作業の繰り返しになりやすい仕事です。誰に任せるか、どう育てるか、続けてもらうために何を用意するか。人の話を後回しにすると、仕組みが回っていても担当者が疲れていきます。
まとめる前に確かめること
- 以前うまくいかなかった理由は、集約そのものか、業務の設計か
- 本部と拠点の線を、どこで引くか(一次面接の設定まで、など)
- 最初の自動返信で、希望日時まで聞けているか
- 連絡は、応募した会社の名前とアドレスで届くか
- 追いかけの回数・日数・区切った後の扱いを、文書にしたか
- 応募が集中する時間帯に、人を置けているか
- 求人ごとの識別のルールと、「登録」の意味をそろえたか
- ステータスの数と、入力のタイミングを決めたか
- まず始める拠点と、まとめた先の担当者を決めたか
どこまでを外に任せ、どこを自社に残すかの考え方は、Field Log #004 にまとめています。
よく聞かれること
- 拠点の担当者が、応募者のことを把握できなくなりませんか。
- 応募者の一覧と進み具合は、拠点からも見られるようにします。面接とその先の判断は拠点に残すので、会う前に必要な情報は拠点に届きます。
- 夜や休日に届いた応募も、本部で受けるのですか。
- 応募がどの時間帯に届いているかを見てから決めます。対応する時間をどこまで広げるかは、応募の傾向と、受ける側の人の手当てを並べて判断します。
- 本部にまとめても、面接の設定率が上がらなかったら。
- 全拠点を同じルールで回したうえで上がらないなら、対応ではなく応募の数や中身の問題だと考えます。そのときは、求人の出し方の見直しに進みます。
文・片桐 正嗣株式会社TL 代表取締役
ご支援先が分からないよう、社名と一部の内容を伏せています。
新しい記録は SNS でもお知らせしていますX でフォロー Facebook でフォロー
