「どこまでお願いできますか」と聞かれたら、先に逆のことを一緒に決めます。どこを御社に残すか、です。
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)のご相談を受けると、最初に「どこまでお願いできますか」と聞かれます。答える前に、私たちは逆のことを一緒に決めるようにしています。どこを御社に残すか、です。
採用の仕事を、3つに分けて考える
採用の仕事は、大きく「集める」「さばく」「決める」に分けられます。
- 集める:求人の要件の整理、媒体の選定、原稿の作成と入れ替え、効果の分析
- さばく:応募の受付、応募者への連絡、書類の仕分け、面接の日程調整、連絡が途切れた方の追いかけ
- 決める:採用の条件、面接、採否の判断
私たちが引き受けるのは「集める」と「さばく」です。「決める」は、必ず御社に残します。会って決めるのは、その会社で一緒に働く人にしかできない仕事だからです。
「さばく」の中で、実際にやっていること
応募が1件入ってから面接に至るまでには、思っているより多くの手順があります。私たちが動く順に並べると、こうなります。
- 応募の受付連絡を、御社名義のメールで送る
- 応募者の台帳に登録し、重複した応募をまとめる
- 事前に決めた条件で書類を仕分ける。判断に迷う方は止めずに、1件ずつ御社に確認する
- 見送りの方にも、必ず連絡する
- 面接の候補日を3つほどお送りし、確定したらご案内する。Web面接ならURLも発行する
- 面接の前日にリマインドを送る
- 連絡が途切れた方を追いかける
- 毎月、費用・応募・面接・採用の人数を1枚にまとめて報告する
応募者の方からは、代行会社が入っていることは分かりません。連絡はすべて御社名義のメールと媒体のアカウントで行い、文面も御社の言葉づかいに合わせます。
いちばん効くのは、速さ
採用代行で何がいちばん変わるかと聞かれたら、応募から最初の連絡までの速さだと答えます。
これまで見てきた応募のデータでは、応募したその日に面接日が決まった方は、1週間ほど後に決まった方の倍近い割合で、面接に来ていました。日が空くほど、ほかの会社に先を越されます。
別の会社で応募の時刻を集計したときは、平日の9時から18時の間に届いた応募は全体の6割ほどでした。残りの約4割は夜や早朝で、土日の応募も2割を超えていました。営業時間の中だけで対応していると、応募の4割は翌日以降の対応になります。夜間や休日の応募をどう扱うかは、始める前に決めておく項目のひとつです。
応募が増えたのに面接が増えない、という相談の多くも、根っこはここにあります。そのときの話は Field Log #003 に書きました。
費用は、2つに分けて見る
採用代行の費用が高く見えるとき、たいてい2つのお金が混ざっています。
- 業務委託費:応募対応などの作業に対する費用。毎月定額で、人件費にあたります
- 広告費:求人媒体に払う掲載の費用。媒体の実費です
この2つを分けると、「採用担当を1人雇うのと比べてどうか」「広告費はいまと比べてどうか」を別々に判断できます。私たちの業務委託費は、月間の応募数とお任せいただく範囲で変わるため、個別にお見積りしています。
小さく始めて、数字を見て広げる
最初から全拠点・全職種をお預かりすることは、おすすめしていません。1拠点・1職種から始めて、応募から面接までの数字が変わるかを見てから広げます。拠点ごとに応募の傾向も、現場の受け止め方も違うからです。
定例で話すのは、応募数より「その先」
毎月の定例は30分ほどで、話すことは4つに絞っています。
- 数字の整理
- 各段階で何人減ったか(歩留まり)
- 応募数。掲載の量の問題か、応募の中身の問題か
- 課題のすり合わせと、来月の打ち手
応募数だけを追うと、判断を誤ります。重複や対象外を除いた「有効応募」が何件あり、そのうち何人が面接まで進んだか。そこを見ないと、どこに手を打てばいいかが分かりません。
うまくいかなかったこと
応募の対応を回すことに手いっぱいで、拠点ごとに話す場を後回しにしたことがあります。対応そのものは回っていても、現場の方が何に困っているのかが、こちらに届かなくなっていました。
現場が求めていたのは、事務の代行だけではありませんでした。この求人はどう直せばいいか。この時期は何に気をつければいいか。相談できる相手がほしかった。いまは拠点ごとに毎月話す場を持ち、こちらから提案を持っていくようにしています。
よく聞かれること
- 勝手に採否を決められることはありませんか。
- ありません。仕分けの条件は最初に一緒に決め、条件から外れる方は1件ずつ確認します。面接と最終的な判断は、いつも御社です。
- いまの採用担当の仕事がなくなりませんか。
- なくなるのは事務の作業です。面接の質を上げる、入社した方が定着するよう現場と話す。人にしかできない仕事に、時間を回していただけます。
- 任せると、状況が見えなくなりませんか。
- 応募者の一覧は共有し、毎月の報告と定例で数字をお見せします。
文・片桐 正嗣株式会社TL 代表取締役
ご支援先が分からないよう、社名と一部の内容を伏せています。
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